しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

司馬遼太郎「坂の上の雲」

坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

足かけ2年にしてやっと全8巻を完読。
長年の胸のつかえが取れたよう。ふぅ〜
最後まで挫折せずによく読んだなぁ・・・という大作。
タイトルから受ける印象とは違い,内容はひたすらやるせない。


なのに,この作品がどのように作られていったのか,というところが途中から気になってた。
細かい客観的な事実を一つ一つ積み上げ,当時の人々の思考形式や時代の雰囲気が手に取るようにわかる歴史小説なので。
あとがきによれば,膨大な内外の文献に当たり,日露戦争当時のことを知る関係者からの聞き取りをするなど準備に5年かかり,新聞連載で4年3か月。
この作品は40年前ぐらいのもの。当時はじっくりと一つのことに時間をかけても待ってくれる余裕があったんだなぁ。


あとがきに「私の40代はこの作品の世界を調べたり書いたりすることで消えてしまったといってよく」とのくだりがある。
40代って,気力,体力,知力のバランスがいい時期なんだろうな。
さて,自分が40代に入ったら,自分の持てる力を何に使うんだろうな?
そんなことを思ったりして。