しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

音楽のチカラ

音楽のチカラってなんだろなぁ・・・

再度の公演延期

自宅の電気が復旧して地震後初めてPCが使えるようになった3月13日のこと。
なにげなくtwitterを見ていたら,ゴス・酒井氏とファンの人とのやり取りが目に飛び込んできまして。
翌日から予定されていた長崎と福岡でのツアー振替公演を行うかどうかという話し合いをメンバーでしていて,ファンにも意見を募っていた,そんな流れの中でのやり取りだったかと。
こちら仙台ではお店の営業が正常化するまでの食糧確保をどうするかが最大の関心事で,しかも電気復旧までは情報が遮断されていたために,被害の深刻さをまだよく理解できていない状態の頭には,そのやり取りは遠い世界の話のよう。
日常生活ができる人は普通に生活すればいいんじゃないかなぁ・・・
九州なんて全然地震の影響ないんだし・・・振替公演を再度振替するのは楽しみにしていたファンの人がかわいそうだし。
そう思ってました。
ゴス友さんともネットで少しやり取りさせてもらったのですが,被災地以外に住んでいる方はみんな延期賛成派。


5人が出した結論は再度の延期。
5人からのこんなメッセージがupされての告知でした。

ゴスペラーズを応援して下さっている皆様へ

東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた方々に、心より御見舞い申し上げます。
今回の震災の状況を受けて五人で話し合った結果、2011年3月14日の佐世保公演、15日の福岡公演を延期することに致しました。
楽しみに待っていて下さった皆様、大変申し訳ありません。
3月11日午後に大きな揺れを感じた時、我々は今回の公演のリハーサル中でした。メンバー、スタッフともに怪我は無く、無事に避難することができ、その時点で安全を確保するためにリハーサルを中止しました。その後スタッフの懸命の努力によりライヴを行うための準備は整い、公演を行うことは可能でしたが、今回の震災の悲劇的状況を知るにしたがい、このまま公演を行っても観にきて下さる皆様と喜びを共有できないという考えに至りました。
今回の公演は1月に予定されていた公演の振替公演でしたので、最後まで実現に向けて全力で準備してきましたが、いまだ深刻な状況が進行しているため、メンバー全員で上記のように決断しました。
被災された方々のために少しでも力になれるよう、我々も活動していこうと思っています。皆様と共に、「一人ではない」という気持ちを全国に届けられたらと思っています。
ゴスペラーズ 村上てつや 黒沢 薫 酒井雄二 北山陽一 安岡 優

これを読んだとき,北山氏が津波の被害を受けた八戸の出身であること,村上氏がソロライヴをした宮古津波被害が大きいところであること,メンバーがわざわざ魚を食べるためだけに立ち寄ったとライヴで言っていた気仙沼も同じく被害を受けたところ,そんなことが思い浮かびまして。
いろいろ悩んでの結論だろうから,それは仕方がないことなのかもしれないなぁ・・・と思いました。
ライヴの内容からしても今はその時期ではない,と判断したのかも,と納得しまして。

あのとき聞きたかった音楽

地震から1週間ぐらいは音楽と全く縁のない暮らしをしてました。
街のお店はほとんどが閉まっていて音楽が流れてくることはないし,TVは見ない主義だったから。
FMから流れてきたポップな音楽をとても聞く気分ではなくてスイッチを消したことさえあって。
音楽を聞ける生活が遠いものに思えてました。
ようやく1週間ぐらいして,いつも持ち歩いていたipodを通勤の行き帰りに聞くようになったのですが,自分がお気に入りで入れているのに,イントロが流れる度に次の曲へ早送り。
音楽を聞くような精神状態ではないんだなぁ・・・と気付きました。
特に,日本語の歌詞が入っている曲,アゲアゲな曲は全く受け付けなくて。
唯一,Eric Benetの最新アルバム「Lost in Time」とその前のアルバム「Love & Life」だけは聞けたんですが。
英語詞の聞きとりが完璧にできたら,聞けたのかどうかわからないですけど,彼の声と気持ちを前向きにしてくれるメロディーに救われました。
ファルセットで泣き叫ぶように歌う「SOMETIMES I CRY」という曲を聞いていたとき,やっと気付きまして。
「ずっと泣きたかったんだ。」
そう気付いたら,今までの気持ちのつかえのようなものが取れた気になって。
非常事態でずっと気が張っていましたし,TVやネットの映像を見れば知っている場所が被害を受けた様子を見ることが多く,自宅が流された知人と直接お話をする機会がたびたびあったんですが,気持ちが整理できなくて。自分は自宅も家族も無事なのに・・・と。


そして「上を向いて」とか「涙をふいて」とか「もう泣かない」という歌詞が入った歌を聞いたとき,心がザラついた理由もわかりました。
「被災地にいる人たちは泣いていても仕方ないって気を張って頑張っているのに!さらに頑張れというの?」という気持ちだったんでしょう。


その音楽が聞く人の心に寄り添ってなければ,励ましにならないんだなぁ・・・
音楽ってそういうところがあるのかもしれません。
音楽のチカラの使い方って難しい。


音楽だけに限らず,娯楽ものはそれを楽しみたい人の心に寄り添って,同じ方向を向いていなければダメなんだろうなぁ・・・
だから,プロ野球のセ・リーグ開催問題では批判の声が起き,サッカーのJリーグの対応が支持されたんだろうなぁ。
同じ方向を向いているということでは,村上氏のこの日のブログにも励まされました。