しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

芸術かスポーツか〜Katarina Wittと伊藤みどり

野球がシーズンオフになったので、スポーツから音楽へ戻るつもりだったのですが、フィギュアスケートのシーズンに入ってしまい、そっちへフラフラと。


ここ数年の日本人選手の活躍によって、グランプリシリーズをダイジェストとはいえ、地上波のテレビで週末放映するようになったので、日本だけでなく世界の選手のスケーティングを観られるのはいいですねぇ。
グランプリファイナル、世界選手権まで楽しめそう。


先日、学生時代の友人と2年ぶりぐらいに会ってフィギュアスケートの話題になり二人して意見が一致していたのが、「カタリーナ・ビット(Katarina Witt)の『カルメン』はコドモゴコロに素晴らしい!と思った」ということ。
情熱の赤と黒の衣装だったような・・・という記憶まではあったんだけど、細かい演技までは覚えていなかったんですが。
でも、今はいい時代ですね。最近お世話になっているYoutubeでそのときの映像を発見。


1988年のカルガリーオリンピックでのFS

(↑は演技だけ。こちらはその後の得点シーンもあります。)
探してびっくりなんですが、もう20年前になるんですね。
当時22歳の彼女は、この大会で金メダリストになったわけですが、技術的な面で言えば現在トップレベルの選手の一人である浅田真央選手の方が比べ物にならないくらいハイレベル。これは、それだけフィギュアスケートが進化していったということでしょうけど。
でも、ビットさんの演技は、当時小学生だった私たちが20年以上たっても素晴らしかったね、といえるぐらい印象深いものだったわけで。
何がそんなに素晴らしかったのか。
それは、彼女が女優だったから。それに尽きるでしょう。
手先の使い方、目線の置き方、表情などからすれば、「彼女はスケートをしている。」という表現よりも、「彼女は舞台に立って演じている。」という表現が似合う。
今改めて見返しても、彼女の「演技」は魅力的。


そんな彼女から「観客はゴム鞠が跳ねるのを見に来ているわけではない」と暗に批判されたのが、伊藤みどりさん。
おなじ、カルガリーオリンピックでのFS

アメリカのTVの映像で、議論しながら解説というのが面白いのですが、その解説の中で「アスレティズム」という言葉が何度も出てくるくらい、高さのあるジャンプを何度も繰り出し、スピード感溢れる元気はつらつな演技。
ビットさんの滑りを見てから、彼女の滑りを見ると「そういえばスケートってスポーツだったよね。」と思ってしまう。
芸術性を重視するビットさんからすれば、伊藤みどりさんは対極にいるわけで、そんな批判もされたのかと。
かたや芸術的な側面を高めたビット、かたやスポーツの側面をクローズアップした伊藤みどり、この対照的な演技を同じとき、同じリンクで観ることができたお客さんって幸せだなぁ・・・。


ここから、「フィギュアスケートは芸術かそれともスポーツか。」という議論が巻き起こったようでして。
それに対して、一つの回答を出したとも言えるのが、その4年後の1992年のアルベールビルオリンピックの伊藤みどりさんの演技。



表現力が足りないと批判されたことから、これを磨いていった彼女。
表現力のUPはカルガリーのときと比べれば明らか。その分落ち着いた演技になっているような。
それとともにジャンプの技術も磨いて女子で初めてトリプルアクセル(3回転半)を成功させ、銀メダリストに。
今調べて驚いたのは、トリプルアクセル−ダブルトーループというコンビネーションジャンプをプログラムに入れていたこと。
先日のグランプリシリーズのフランス大会で浅田真央選手がトリプルアクセルに失敗、でも果敢に挑戦したのはよかったんじゃないか、とか、その前のカナダ大会で、中野由加里選手がトリプルアクセル成功とかが話題になっていたけど、これよりもずっと難易度の高い技術を持っていたわけで。
実際には、このコンビネーションジャンプはトリプルアクセルが失敗。
驚くことにそれにめげず、急遽プログラムを変更して体力を消耗している後半でトリプルアクセルを成功させているんですよね。
ん〜、フィギュアを結構見るようになった今だからこそ彼女の技術の高さに感心してしまうわけで。


スポーツであるフィギュアスケートを意識させた伊藤みどりさんの存在が年々技術のレベルが向上している女子フィギュアスケート界に影響を与えたのは間違いですよねぇ。
今は3回転−3回転のコンビネーションジャンプを入れないと優位に立てなくなっているし。
さらに20年前だったら重視されていなかった、スパイラルやステップのレベルはアップしているし。
ということで、今はスポーツの側面が重視されているような。


でも、ビットさんみたいな芸術面を押し出すスケーターが出てこないかなぁ・・・とも思ってしまうわけで。
「芸術かスポーツか」ではなく「芸術でもありスポーツでもある」というスケーターの登場を待っているんですが、どうなんでしょうね。