- アーティスト:ゴスペラーズ
- 出版社/メーカー: キューンミュージック
- 発売日: 1999/07/23
- メディア: CD
きっかけの1枚
誰にでも,あるミュージシャンのファンになるきっかけの1枚があるはず。
これは,ゴスマニアになるきっかけとなったアルバム。
そして,ゴスペラーズ自身にとっては,後のブレイクに繋がる1枚。
5年目のゴスペラーズが出した結論。それは・・・
自分たちの好きなスタイルの音楽をやろう
ブラックミュージックの影響を受けているにも関わらず,それを前面に出していなかった彼ら*1。ジャパニーズポップス王道路線でして。
それが一転,ブラックミュージックのテイストをかなり前面に押し出し,熱く熱く歌いまくったのが,このアルバム。前作までと比べると,ぐっとマッチョな感じに。
ジャケ写いろいろ
てなことで,ビジュアルまでこんなに変わってしまって・・・
1998.6.20発売
日本歌謡界の大御所・作詞阿久悠*2&作曲筒美京平*3による作品。まだ,顔の表情がぼやぁ〜としているなぁ。
1998.12.12発売
およそジャケ買いなんてしてもらえなさそうな地味さが悲しい(苦笑)。
5人の表情が好きなんで,12センチで再発売されたときに唯一買い直したシングル。
1999.6.19発売
いよいよ始まります。ムリしてるぅ〜シリーズ第一弾
1999.7.23発売
歌詞カードの中をぜひご覧ください。そこにはただではスルーできない世界が。
某ゴスマニアさんは,ジャケ写に引かれて試聴してそのままはまったらしい。
試聴をしてみたくなるジャケ写なのかも。
1999.12.1発売
ムリしてる感がちょっと薄れてきた?というより,この路線に慣れてきたかも。
このまま行ったらどうなっていたのか,見たみたいような・・・
2000.8.23発売
北山氏が眼鏡OFF。まだ村上氏もグラサンなし。
シンプルな衣装だけど,前作のツッパっている雰囲気は引きずっている気が。
2001.3.7発売
約1名,宝塚の人が混じってまぁ〜す!
ここからスーツを着るように。
2002.2.20
ブレイク後のアルバム。これもある意味ツッパっているけど,そんなにムリしてない。
オトナの雰囲気が漂ってくるよう。
2002.12.4
ブレイクしてゴスペラーズ流の「アカペラ」の決定版を作る!と鼻息荒く作り始めた作品。
途中で,あまりの作業の多さに気弱になっていったらしい・・・(苦笑)
でも,表情には自信が表れているかと。
自信満々にその髪型はどうなん?>黒沢氏 とも思わないこともないけど。
熱帯夜のレビューのときにも書いたけど,明らかにこのアルバムの前後のジャケ写だけが浮いているんですよねぇ。素直じゃないっていうか,ムリしているのがわかるんです。
でも,何かを変えたいっ!という気持ちがすごく出ているような・・・
なぜ,方向転換?
デビュー当時から続いていたソニー系列の音楽雑誌・PATIPATIの連載が終了し、メディアからは消えつつあったこの頃。メジャーシーンでやっていくのには,黄色信号が灯っていたはずなんですよね。
なのに,下手すると今までのPOPなゴスが好きなファンからそっぽを向かれる危険さえあったこの方向転換。なぜ?
や宇多田ヒカルの
- アーティスト:宇多田ヒカル
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1998/12/09
- メディア: CD
ただ,1999年はまだ女性中心のブームで終わったんですよねぇ。
男性R&Bブームの先駆けの平井堅氏の
- アーティスト:平井堅
- 出版社/メーカー: DefSTAR RECORDS
- 発売日: 2000/10/01
- メディア: CD
やっと自分たちが好きな音楽をやりやすくなった,と同時に,毎年アルバムを出しているのに,ヒット曲までは出ず,そろそろ微妙な立場になってきたかも?というこの時期。
彼らはどんなことを考え,どんなことをやろうとしていたのか。
そんなことも思ったりして。
なにはともあれ,この「FIVE KEYS」というアルバムがなければ今の彼らのスタイルはなかったはず。
今聴くと粗い音造り。だけど,その粗さが逆にアタシにはフックになってましたねぇ。
まわりのゴスマニアさんで,このアルバム聴いてファンになった,という人結構いるんですよね。
FIVE KEYS(作詞:酒井雄二,村上てつや 作曲:村上てつや,黒沢カオル,酒井雄二,K-MUTO)
そっかぁ,黒沢氏って,このときは「黒沢カオル」だったよねぇ。
「黒沢カオル」→「黒沢薫」に改名した*4ときは,前の方がよかったなぁ・・・なんて思ったけど,それでブレイクしたんだから,いいかなぁ。
まぁ,それはそうと。アルバムタイトル曲。
前のアルバムから5枚目のアルバムはこのタイトルということは決まっていたらしく。
だからこそ4枚目の「Vol.4」 のラスト曲のタイトルは「5つの鍵の伝説」。
今ではライブには外せないアゲアゲ代表曲。
ライブではラストのヘッドバンキングがお決まり。
あるとき,黒沢氏はそのヘッドバンキングをサボり,うなずきマーチ状態(笑)だとのタレこみがゴスラジオ番組にされてました・・・(苦笑)。
最近になって,ゴスペル界のヒットメーカーKirk Franklinの
- アーティスト:Kirk Franklin
- 出版社/メーカー: Uni/Gospocentric
- 発売日: 1998/11/09
- メディア: CD
にインスパイアされて作られたということを知りました。
ライヴver.はまんまのフレーズ使ってますもんね→こちらで試聴
熱帯夜(作詩:安岡優,作曲:黒沢カオル,北山陽一,妹尾武)
詳しいレビューはこちら。
これで「うたばん」に出演。
トラックが当時としては新鮮。黒沢氏&村上氏がシャウトしまくり。
ライヴで見るたびに振り付けが様になってきていている・・・かなぁ(苦笑)
逃飛行(作詩:安岡優,作曲:黒沢カオル)
アタシ的アルバム最高傑作。spa的3大ゴスマニア化曲なのです。
ドロドロの恋のシチュエーション。切ない恋をする男の熱い叫びが聴けるこの曲。
今から聴くと,結構演歌チックだなぁ・・・*6とも思いますが,日本人には入りやすい曲かも。
この曲,不憫なところがありまして。
① どちらがシングル曲になるかでデットヒート(?)を繰り広げた末に,「熱帯夜」に敗れる。
② ゴスペラーズ最大ヒットアルバムLove Notesの収録曲に!と黒沢氏が強力にPUSHしたのに,落選。
③ もちろん(!)G10にも収録されず・・・
知名度は低いのですが,ライブver.はかなり切なくて好き。
またライブで聴きたい曲の一つなのです。
LOSER(作詩:安岡優,作曲:村上てつや,酒井雄二,安岡優)
♪夏の終わりの ちょっとだけ ルーズなさよなら
この曲の良さはロックしか聴いていない人にはなかなか伝わらないようで(泣)。
このグルーヴ感がいいのに・・・。3大ゴスマニア化曲のもう一つ。
I LOVE YOU,BABY(作詩:安岡優,作曲:中西圭三,小西貴雄)
売れる曲をゴスに作ろうとの企画で中西圭三氏が作曲。
イントロは中西節です。黒沢氏の歌い方が濃いです。ちょっと胸焼けするぐらい。
安岡氏の大人な歌い方にドッキリするかも。
夜をぶっとばせ(Live)(作詞:村上てつや,安岡優,作曲:北山陽一,村上てつや)
アカペラライブでは盛り上げるのに不可欠な曲。
酒井氏のヒューマンビートボックスが真正面より取り上げられております。
北山氏の「♪そーばーにおいで」で陥落する女子多数・・・(笑)
「侍ゴスペラーズ」に続く、メンバー紹介曲。
讃歌(Live)(作詞・作曲:酒井雄二)
ライブヴァージョンがいいんですわ。「OH まるで祈るように〜眼差しを〜」のフレーズで始まります。
この曲をとても高く評価するかでサカイストかどうかのわかるっていうぐらい酒井氏の代表曲。
クリアな高音の声質の持ち主の酒井氏の,直線的な歌い方からニュアンスのついた歌い方へ変化しつつある歌声が聴けます。
ツアー「アカペラ人」で初お披露目だったこの曲,本番直前まで「酒井の曲」というタイトルでしかなく,しかもメロディーも確定していなかったこと,G10ツアー中に暴露されたりもしましたが(苦笑)。
まちがいさがし(作詞:村上てつや,安岡優,作曲:村上てつや)
前作「Vol.4」までの元気ポップ路線を引き継いでいるような曲。
もうこういう曲は聴けないだろうなぁ・・・
50歳になっても歌えそうだけど(笑)。
「♪ハモらせるなよ。」に「虹」のようなおかしさがあり。
THAT’S WHAT I WANT
今のゴスなら歌わないタイプの曲。
あたらしい世界(作詞:康珍化 作曲:北山陽一)
グレる方向転換前の曲なので,このアルバムではちょっと色合いが違う曲。
北山氏作曲初シングル曲。
この作曲の過程には北山氏の後輩にあたるデビュー前の一青窈ちゃんが「別れ」を扱った内容の詞を書き、北山氏はこれを見てそれに曲を書いてプレゼントしたんだとか。
そのときの曲をゴスで歌うことになり,一青ちゃんの詞が女の子の視点で書かれていたのをそのままやるのはどうか・・・ということになって康さんに改めて歌詞を書いていただいた、との経緯があったようで。
北山氏にとってはこの曲は作曲家として日本語の詞とメロディーとの関係が初めてわかった気がした曲だとか。
一青ちゃんにとってはこれが詩を書くようになったきっかけの一つでもあったりするらしく。
そんな経緯でできたこの曲、名曲です。PVも最高だし。
シークレットトラック〜Rockin and Cryin Blues
「あたらしい世界」が始まって「5分55秒」に始まるこの曲。
このアルバムタイトル「FIVE KEYS」をそのグループ名に持つボーカルグループの曲をカバー。
とことん「5」にこだわった5人の侍のアルバムはこれで〆られるわけで。凝ってるなぁ。