しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

Donny Hathaway「Extension Of A Man」

Extensions of a Man

Extensions of a Man

ライナーノーツ

いつものとおり(?)輸入盤を買ったのですが,このCDに限っては国内盤を買えばよかったかも・・・。
Donny Hathawayが書いたライナーノーツをぱっと開くと,MajorコードとMainorコードの五線譜が目に飛び込んできて,まるで音楽理論の論文のよう。
さすがは,名門のハワード大学でクラシックなど音楽を学び、主席で卒業した経歴の持ち主。
ワタクシの頼りない英語力で読んでみても,彼がこの作品に対する意気込みの凄さが伝わってくるのです。


彼のライナーノーツの冒頭で,こう書いています(かなりの意訳です)。

私がこのアルバムに「Extension Of A Man」と名付けたのは,私自身が発展途上段階にあるからだ。(中略)私は一人の人間にとって可能な限り多くのスタイルを記録したいのだ。*1


邦題は「愛と自由を求めて」。
おそらく,それは2曲目の有名曲「Someday We'll All Be Free」(いつか自由に)から来ているんでしょう。
原題を直訳すると「人間の拡張」。「人間の可能性を求めて」っていうぐらいですか・・・
ライナーノーツからすれば,原題から訳した方が,彼の意図がよく伝わるのでは,なんて思ったりして。

I Love the Lord; He Heard My Cry, Pts. 1 & 2

イントロを聞いたときに,なぜか頭の中でオペラ「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」のフレーズが出てきまして。
というぐらい,45人編成のオーケストラによるスケールの大きいインストで始まるこのアルバム。
ブラックミュージックのアルバムという心積もりで聴いたので驚きまして。

Someday We'll All Be Free

彼の代表曲として必ず挙げられるこの曲。
彼自身,ライナーノーツでこれはスタンダードな曲と紹介。
そのとおりとなったわけで。

Valdez in the Country

インスト。こちらは,ラテン・ロック。
結構好きな曲

Love, Love, Love

Mavin Gayeから影響受けているアレンジだ!と思ったらそのとおり。
J.R.ベイリーのカバー。

最後に

このアルバム,tanouxさんに「スタジオ録音のアルバムの傑作」ということでオススメいただいのですが,正直に言うとちょっと取っ付きにくかったんです。
それはなぜ?
たぶん,もちろんブラックミュージックの要素もあるのですが,それだけにとどまらないスケールの大きさに,コテコテのブラックミュージックを聴くことが多いワタシの耳が慣れてなかったからではないかと。
ただ,そんなアルバムだけにブラックミュージック以外のジャンルのミュージシャンへ与えた影響はどうだったんだろ?と思ったり。
このアルバムは,間口は広いような気がするんですが。





ということで,やっとエントリーできました!(英語ができないのはツライ・・・)
次は,「Someday We'll All Be Free」のカバーが収録されているTAKE 6の「Beautiful World」をレビュー。

*1:原文 「I decided to call this album “Extension Of A Man" because I am in the process of expanding and developing styles.(中略)I would like to record as many styles as humanly possible for one person.」