試合は大差で日本が勝ったけれど、これほど国際試合の良さが詰まったいい試合はないのではないか。
対戦相手のチェコの選手はみんな仕事を持ちながら野球をしている、今大会唯一のアマチュアチーム。戦前の予想は日本の大勝。実際のスコアも8点差で予想から大きく外れるものではなかったけれど、試合展開は予想とは違って、ヒット1本とショート中野選手の悪送球によるものとはいえ、チェコが1点リードする。
日本の強打者はコントロール抜群の超スローボールを投げるオンジェイ・サトリア投手に翻弄されまくる。今大会で一番注目を浴びている二刀流のメジャーリーガー大谷翔平選手が3球三振できりきり舞いさせられている。
守備は固いわ、160キロ超の佐々木朗希投手の直球を打ち返すわで、基礎がきちんとしている野球が見えた。
極めつけは選手の野球に対する姿勢の素晴らしさ。
ウィリー・エスカラ外野手。膝に162キロのボールぶつけられて、痛みのあまりすぐに起き上がれなかったから負傷退場すると球場のみんなが思ったときに、なんとか立ち上がり、1塁に歩いていき、そこからファールグランドで走って見せたのには驚いた。大拍手が起こる。
最後は負けたチェコの選手たちがベンチから出てきて日本チームに拍手。
いつも試合が終わったときはやっているから~なんて監督は説明してたけど、グランド上の紳士的なふるまいは「仕事を持っている大人だからかなぁ~」なんて思ったり。
野球よりもサッカーというお国柄。予選から勝ち上がって初めてWBCという世界大会に出場したチームの、自分の国で野球を広めたいという使命感の高さが様々な素敵なエピソードを生み出していったとしか思えない
後日談も面白い。
大谷選手がインスタグラムにチェコのチーム向けにメッセージを送ったり、後日チェコの選手にサインバットなどをあげたり、佐々木投手がお詫びにロッテ(手に入れやすいもんね。)のお菓子を買ってチェコの選手が泊まる宿舎に持って行ったりと試合後の交流エピソードも沢山。互いが互いの振る舞いに感激している様子が伝わる。「スポーツマンシップ」という言葉が久しぶりに思い浮かんだ。