しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

平成中村座「義経千本桜・忠信編」@浅草・平成中村座(仮設)

2演目みたら全部見ないと後悔する。
タイミングよく平日にもかかわらず,早めに用事が済んだので浅草へ。


この日は千秋楽。
しかも、アタシたちみたいにリピーターが増えていったようで当日券は2階席しか余りがなかった。
もう、雰囲気だけでいいからということで1000円で2階席上手側の立ち見席をゲット。
花道と下手3分の1しか見えないという場所ながら、1000円ではお釣りが来るくらい楽しめた。

忠信編

静御前の持つ鼓の皮に使われた親狐を慕って義経の側近「忠信」の化けて静御前に付き従う子狐のお話。
親子の情愛は動物も人間に負けないくらい強いものだというお話なんだけど、仕掛けが面白いこの演目*1
舞台を転換をさせる機械もCGもない時代の人がどうやって奇抜な演出をしようかと頭をひねったものを目の当たりに出来て歌舞伎の奥深さを知った。

千秋楽なので

役者さんからのご挨拶。
勘九郎さんが「(チケット代を)取れるところから取る」と言っていたお大尽席。
金の座布団&脇息が置かれ、さらにお土産つきの2階の正面席。
あんなところに座るなら変な格好はできないなぁ〜と思って3日間、その席を見やるとさすがにばっちり決めた格好の人が座っておりました。


女形の格好をして「オッス」と挨拶したちょっと強面にも見えた背の大きい中村獅童
名前が印象的だったのと、舞台挨拶のときのリアクションが変わっていたんで覚えていた。まさかそのあと、歌舞伎以外で(!)こんなにブレイクするとは!
あとで平成中村座のパンフを読み返すと,ブレイクのきっかけとなった映画「ピンポン」の話が載っておりました。


役者の力量ということでいえば勘九郎さんがいる場とそうでない場の締まり方が全く違っていた。
というのも共演した役者が中村屋の若い役者が多く,力量の差が歴然とあることからくると思う。
徒弟制度の世界なので,師匠とともに舞台に立って,その「家」の芸を身につけさせる・・・そんなところに歌舞伎の独特な世界を感じた。


この平成中村座、歌舞伎というものの見方を大きく変えた貴重な舞台だった。

*1:花道の入り口から大声を出して観客を振り向かせ,その間に舞台に狐が登場するとか