しあとりかる-Theatrical-’s blog

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笑の大学

笑の大学 スペシャル・エディション [DVD]

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ストーリー(wikipediaより)

 舞台は昭和15年。日本は戦争への道を歩み始めていた。国民の娯楽である演劇は規制され、警察で台本の検閲を受けなければ上演できない。そんな時代に、生まれて一度も心の底から笑ったことがない検閲官・向坂(さきさか)睦男(役所広司)と、劇団「笑の大学」座付作家・椿一(稲垣吾郎)が警視庁の取調室で出会う。向坂は「このご時世に、低俗な喜劇など不謹慎であり上演する必要などない」と考えているため、“笑の大学”を上演中止に持ち込むべく、椿の台本に対して「笑い」を排除するような無理難題を課していく。しかし、椿は何としても上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらも更に「笑い」を増やす抜け道を必死に考えていく。

雑感

脚本は三谷幸喜。「笑の大学」はラジオドラマ版・舞台版・映画版の3バージョンあるらしく、ストーリーは各バージョンとも共通。ただ役者に合わせた当て書きのため脚本はバージョンごとに書き直されているらしい。
ラジオドラマ版は聴いたことはないのですが、舞台版(向坂睦男役:西村雅彦、椿一役:近藤芳正
は10年ぐらい前に映像を見たことがあって。
それと比べてしまうのですが、役所氏の向坂は思ったよりも優しいな〜というのが印象。
検閲官は笑いに理解がない堅物という設定なので、役所氏よりはクセ者の役をすることが多い舞台版の西村氏の方が向坂役に合っていたような気がする。
椿役の稲垣氏は想像していたよりも役にハマっていたのでよかった。
舞台版は1対1の二人芝居で取調室での丁々発止のやり取りがスリリングでそれが魅力なんだけど、映画版は舞台版よりもやや緊張感が緩んでもう少しゆったり見られるかと。
舞台のよさ、映画のよさを引き出そうとした結果、こういう違いが出てくるのだとしたら、それも面白いなぁと。
ストーリー展開は、さすがは三谷氏の作品の中でも名作と評判されるだけあって最後まで面白い。
戦時下の検閲というおよそお笑いとは相容れない制度下でどうやってお笑いを追求できるか悩み、答えを見つけていく椿、そして、意図せずしてより面白い脚本づくりに「加担」してしまう向坂の姿からコメディーって何?どういうとき人は笑うの?という問いに対する三谷氏の答えのようなものが見えるのが面白い。
最後が予想されている結果とはいえ、あのほろ苦い結末もグッとくる。