われ反抗す、ゆえにわれら在り――カミュ『ペスト』を読む (岩波ブックレット)
- 作者:宮田 光雄
- 発売日: 2014/06/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
宮田氏の解説が難しいが興味深い。
不条理な状況にもかかわらず、限りない人間の可能性をも暗示させる、とカミュ「ペスト」を評価。
不条理な現実に対する「反抗」。これは「革命」とは異なる意味で使っているとの解説。
登場人物は、いずれも同じ不条理の苦難の中に立たされながら、しかし、苦難を分かち合うこと、連帯しながらそれと闘うことを自分にとっての価値あることと感じとる。
「反抗」とか「連帯」といった日本語訳にだけ見ると間違った方向に引きづられそう。
今までイメージしていたものとは違う意味に捉えたほうが良さそうだ。
そうすると、ジャック・アタリ氏のいう利他主義の考え方にも繋がりそう。
EUの思想的な背景が見える気がする。
単なる感染症をテーマにした小説ではない奥深さを垣間見た。