監督:山田洋次・主演:真田広之・宮沢りえ
仕事を早めに切り上げ,映画館へ。
期待をして行ったけど,期待以上の出来で◎
時代考証を丹念にしていることにひかれて(←変わった動機だけど),それを楽しみに観たけれども,映像のすみずみまでよく配慮されている…という印象。
そして,光と陰の使い方が印象的。
大人が味わう人生の苦さがとてもよく出ていて引き締まったストーリー展開。
宮仕えの不合理さというのが,淡々と描かれていて非常にリアル。
サラリーマンに受けるというのはこのあたりか。
全体的に抑え目のトーンで,ゆったりと入り込める映画でした。
じわじわ…ときた感動にしばらく浸ってた。
が。隣の席のおばさまが「面白かった…」と呟く。
ん〜,面白かった…っていうのはちょっと違うなぁ…なんて言ったらいいんだろう?
と思っていたら,そのおばさまが突然「面白かったですね。久々に映画みたものですから…」と話しかけてきた。
え〜ん,感想にはほんと同感なんですけど,まだ魂が映画の世界から現実に戻っていないので,もうちっと放っておいてよぉ…
とちょっとわがままなことを思ってしまった。
なんだかしゃべってしまうと映画に浸ってる気持ちが失せてしまうような気がして,おばさまの言葉にただうなずくことしかできなかった。
まるで,幸せな夢から覚めたらその夢の続きが見られないんじゃないか…とわざと目覚めないように頑張っているみたい。
今まで感じたことのないものを感じられた映画なのでした。