東京に来て何が違うって見られる舞台の種類が多いこと。
歌舞伎、能、狂言、人形浄瑠璃等の古典芸能が毎週どこかで見られるなんて地方ではありえないこと。
ということで東京へ研修に行ったら,やってみたいことの上位に「歌舞伎を見ること」をあげたアタシ。
初夏に見たっきりご無沙汰していたんだけど、Tちゃんのお誘いで平成中村座に行ってきました。
平成中村座とは?
中村勘九郎が座長となって浅草の隅田川沿いにある浅草公園に仮設の江戸時代の芝居小屋をイメージした会場を作って3演目「義経千本桜」の「権太編」「知盛編」「忠信編」を昼夜各1演目で日替わりで1か月ぐらい公演するというもの。当時と同じく、公演が終わったら小屋は取り壊してしまうんだとか。
この日の権太編は、「ゆがみの権太」というならず者のお話。
庶民が主人公。
歌舞伎のセリフは本が作られた時代,つまり江戸時代の言葉だから,言葉の意味がわからないというのが敬遠してしまう原因になるかと。
でも,歌舞伎の中でも庶民が出てくるお話だと,なんとかわかるのよね。
(逆にわかりづらかったのが,「知盛編」。こちらは,高貴な身分の方々が主人公なので。)
この日のチケットは1万円ぐらい。座席は2階指定席(下手)。
こんな仕掛けで歌舞伎を見ることはもうないかも!と思ってえいっ!と買ってみた。
歌舞伎って・・・
この公演を見てまず思ったのは
歌舞伎って演劇だぁ!
ってこと。
なぜって,笑ったり泣いたりできたから。
人間を描く行為は時空を超えるんだなぁ。
形式は古典だけど、現代にも通じるものを見出せたのがとても驚きだった。
最初は,社会勉強として歌舞伎を観にいった・・・ぐらいだったのに。
100年以上前に作られ、未だに公演されるという脚本ということだけあってそのストーリー展開は面白い。
歌舞伎=希少価値ゆえに保護されるべきものという,まるで博物館の展示室に置かれたカラカラに渇いた古いものというイメージがあっという間に覆された。
勘九郎は歌舞伎を現代に通じる演劇として攻め続けている。
そんな気概がよく伝わってくる公演だった。