しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

The Gospellers Works 2

リリースから随分経ったけど、ようやく記事完成。

外仕事「〜 Works」第2弾はセルフカバーアルバムですって。

ジャケ写

まずは久々のジャケ写チェックから。
第1弾はこちら↓

15年前(2007年)発売なので皆様若い!

今回は外ジャケはリモート会議、中ジャケはバケーション*1というコロナ禍をきっかけに注目されるようになったライフスタイル・ワーケーション*2な5人。
10年後にこれを見たとき、どう感じるようになるんだろうか・・・

収録曲

和田アキコ大先輩の「愛のためだけに」(作詞:山田ひろし/作曲:村上てつや/1998年)とか夏川りみちゃんへの「シマダチ」(作詞:村上てつや/作曲:村上てつや/宇佐美秀文/2005年)とかセルフカバーver.をc/wやアルバムに入れてるから、アルバムになるほど提供曲の数があるとは思わなかった。

ざっと聴いた後の感想。

  • 8曲中オリジナル曲を聞いたことがあるのは3曲だけなので、セルフカバーアルバムというよりミニアルバムを聴いたみたい。
  • カバーは難しいと言われるけど、セルフカバーは更に難しいのかしら?「2020年代の音の表現」と格闘した跡が見え隠れする。
  • オリジナル音源と聞き比べると新しい発見があって面白い。

01. DONUTS(テゴマス(2014年))/作詞:安岡優 / 作曲:村上てつや / 編曲:宇佐美秀文

オリジナル音源は聞けてないので「彼ら(テゴマス)の持つ“永遠の少年性”みたいなものを、楽曲の中でなんとか表現したい」という思いで作ったというところを手掛かりにしてみると、アイドル向けらしい提供曲らしいなんだろう。
ゴスver.はアルバム「Vol.4」を彷彿させる。安岡氏の甘えんボイスを思いっきり堪能できるカバー。

02. Keep It Goin' On feat. Penthouse(三浦大知(2005年))/作詞:Jam / 作曲:黒沢薫、宇佐美秀文 / 編曲:Penthouse

feat. The Gospellersとした方がピッタリ来るサウンド
それもそのはず昨年秋にメジャーデビューしたばかりの新進気鋭のPenthouseがアレンジを担当。
20代が軽々と作り出すサウンドと格闘する50代おじさまたち。
オリジナルの三浦大知くんみたいに踊れないからせめて…というには随分高いハードルにしましたね。
セルフカバーなのに、らしくないサウンドに仕上げていくところがユニーク。

「Penthouse」は初めまして。
知らないアーティストでもYouTubeですぐパフォーマンスを確認できるいい時代。
ライブでのパフォーマンスを見ると、今回はゴスに合わせて抑え気味にも思えるアレンジなんですが・・・
いつの時代もそうだけど勢いのある若い才能って眩しい。これからの活躍が楽しみ。

コラボのきっかけがもともと黒沢氏と食事する関係もあってらしい。黒沢氏のコミュ力の高さには頭が下がる。
才能ある若いミュージシャンをどんどん後押しするっていうゴスの姿勢が見えるコラボ。

03. Special Love(ジャニーズWEST(2020年))/作詞:黒沢薫 / 作曲:黒沢薫、竹本健一 / 編曲:Mori Zentaro

オリジナル音源を聞き、ライブ映像*3を見てみた。
ゴスペラーズらしい直球の楽曲をください」というリクエストがあったようで、ゴスペラーズプロデュースって言われなくてもわかるサウンド
北山氏が「ジャニーズのボーカルグループが、僕らでも歌ってハモるのが難しい楽曲に果敢にチャレンジして、クオリティの高いものに仕上げてくれたことの意味は大きいですよね。」と言った意味がよくわかる。
ジャニーズもとうとうここまでハモるようになったのかというくらいコーラスが入っている。

オリジナルの仮歌はゴスが歌っていたようで「ゴスペラーズの誰がどのメンバーのパートを歌っているのか?」と当時ちょっとだけネットで話題になったらしい。今回のセルフカバーではその時の担当のままで歌っているとのこと。
こんな感じでコーラスアレンジまでゴスらしいオリジナル曲をどうセルフカバーするのかっていうのは結構難しいかもね。

オリジナルとセルフカバーの違いはアレンジ。
オリジナルはオーソドックスなバラードに対し、セルフカバーはここ数年新しい「R&B」と言われる「アンビエントR&B」*4に寄せたもの*5にし、コード展開も変わっているのだそう。

最新R&Bってところにセルフカバーらしさが出ている。
最近少なめになってきたメインボーカルの入れ替わりが頻繁にあるところが面白いところ。

04. Sounds of Love(小野大輔(2022年))/作詞・作曲:酒井雄二 / 編曲:平田祥一郎

小野大輔さんって誰?」からの「ジョジョの奇妙な冒険」の空条承太郎の声優さん→「あの人か!」
小野さんから歌詞について「コロナ禍が収束へと向かっていく中での、祈りのような曲が歌いたい」とのリクエストがあったもの。
それにまつわるインタビュー*6でのやりとりが面白い。

村上 どこかのインタビューで酒井さんが「小野さんへの提供曲だから、ここまで素直な歌詞が書けた」みたいなことを言っていましたが、俺自身はまったくそうは思わなかった。

酒井 ホント?

北山 うん、酒井さんっぽい曲だなと思った(笑)。

村上 もちろん、小野くんが歌うということで考えに考え抜いた言葉の選び方なのですが、それでいてゴスペラーズにとっても普遍性のある歌詞に仕上がっているなと思いましたね。

「それぞれの孤独の間に 無数の見えない壁があり」とか「この惑星(ほし)に生まれ この時代(とき)を生きて」とか酒井氏らしいな言葉遣いだなぁと。酒井氏が思っている以上に他のメンバーは酒井氏のことをわかっているという微笑ましいエピソード。
サビの歌詞のところを指して酒井氏は「素直な歌詞」と言っているのかな?

ほぼ同時期にオリジナルとセルフカバーが出ているので、双子のよう。
オリジナルは、小野さんの声質が落ち着いているので月の光のなかを歩いているイメージ。
You TubeのMVが素敵。小野さんの歌声を聴きながら映し出される縦書きの歌詞を読むと、言葉遣いだとか込められたメッセージの素晴らしさが伝わってくるんですよね。

セルフカバーは、5人ともリード取っているんだけど声の響きを明るく揃えている。特に村上氏はこんなに明るく歌うんだっけっていうぐらい。
それを平田氏お得意のキラキラトラックに乗せると満天の星空を見上げながら歩いているよう。

どちらのVer.も秀逸でこのアルバムのなかでは一番のお気に入り。

05. Follow Me(アオペラ・FYA'M'(2022年))/作詞:村上てつや / 作曲・編曲:村上てつや、とおるす

06. RAINBOW(アオペラ・リルハピ(2022年))/作詞・作曲:安岡優 / 編曲:とおるす

こちらもオリジナル、セルフカバーほぼ同時リリース。
「Follow Me」は今どきのアカペラの特徴である情報量の多いメロディを目指した、今までのゴスっぽい曲ではないので、新曲として聴く感じ。
「RAINBOW」はオリジナルのイメージがないので、セルフカバーというより安定の安岡曲って感じ。

07. 五時までに(郷ひろみ(2001年))/作詞・作曲:安岡優北山陽一妹尾武 / 編曲:井上一平、北山陽一

ようやくゴスがブレイクした年にリリースされたシングル「この世界のどこかに」のC/W。
確かCDをレンタルして聞き込んだ記憶があるので、懐かしい。
郷さんの2022年ライブツアーのセットリストに入っていてしかも、撮影可だったらしく、ファンの皆様がYou TubeにUPしてくれたのを観ました。
20年前に提供したC/Wをライブで大事に歌っていただいているって作家陣としては嬉しいでしょう。

「この世界のどこかに」とこの「5時までに」を聴いた当時、郷さんはどんな楽曲でも自分色に染め上げる圧倒的な華のある「歌手」なんだなぁと。
謡曲全盛期にプロの作詞家・作曲家が作った楽曲を次々と歌いこなしてヒットを連発してきたプロの歌手の凄さを感じたものです。

歌い手の存在感という面ではとても敵わないオリジナルをどうセルフカバーするのか。
北山氏の出した答えは、この曲のスタート地点まで戻り1から作り直すというアプローチ。
妹尾氏にまたピアノを弾いてもらって、この曲の生みの親である北山氏・安岡氏をメインボーカルにして、そこから5人のコーラスアレンジへ。
さらにイントロからのストリングス遣いで、しっとりした大人の世界へ引き込む。
クラシックのソリストに「とにかく歌を引き立てるという発想はやめてほしい。弾いていて(楽器で)歌いたくなったら存分に歌ってください」と注文したそうなので、ストリングスが印象的なアレンジになっている。

「転生」という言葉がぴったりなセルフカバー。

08. 会いたくて(夏川りみ(2004年))/作詞:安岡優 / 作曲:黒沢薫 / 編曲:北山陽一

りみちゃんは正統派歌うますぎシンガー。
いつも声の響きの分厚さに圧倒される。
オリジナルでも、そんな彼女の伸びやかな声が堪能できる曲となっている。

「歌そのものが歩いてる」(by北山氏)りみちゃんと同じことしても敵うわけないということで、ゴスらしくアカペラアレンジ。
リードは北山氏を軸に、1番が+黒沢氏、2番が+酒井氏。
オリジナルが女性ボーカル曲だからか、酒井氏の声の響きがおもいっきり明るいというところにカバーらしさが見える。

*1:ファンならわかるネタ入り

*2:「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語。数年後には死語になる予感するので一応脚注。

*3:ジャニーズWEST LIVE TOUR 2020 W trouble」 Digest Movie

*4:Ambient(アンビエント):直訳すると〈環境〉の意。ダウンテンポの音楽のジャンルの一つ。「アンビエント・ミュージックとは、作曲家や演奏者の意図を主張したり、聴くことを強制したりせず、その場に漂う空気のように存在し、それを耳にした人の気持ちを開放的にすることを目的にしている。 シンプルで静かなメロディーを繰り返す場合が多い。」と説明される。

*5:Real Sound「ゴスペラーズ、セルフカバーを通じた味わい深い旅 三浦大知ジャニーズWEST郷ひろみら提供曲の秘話も明かす」より

*6:音楽ナタリー「ゴスペラーズ 外仕事はデビュー28年目のグループに何をもたらしたのか?」