しあとりかる-Theatrical-’s blog

観たこと聴いたことに愛あるツッコミを!!

大河ドラマ「花の乱」

1994年。今から26年前の大河ドラマ
平均視聴率14%。
2012年の「平清盛」に抜かれるまで最低視聴率を記録したドラマとして毎年のようにその年の大河と比較されることに。
そんな位置付けだった「花の乱」も2019年「いだてん〜東京オリムピック噺」の最高視聴率15.5%、最低視聴率3.7%、平均視聴率8.2%という記録の前には影が薄くなってしまう。

ですが…結構評価高いんですよね。
確かリアルタイムで第1回は観てる。でも主人公が異父妹と入れ替わるという設定についていけなくてここでリタイアしたらしい。
「らしい」と思うのは、今回第2回を観ても記憶に全くなかったから。

今回は婚礼のシーンがある第5回から観始めたらハマった。この回は素晴らしい。
意外と松たか子がいいんだよねぇ。これがテレビドラマ初出演とは思えない。
声が甲高くて「え?」って思ったけれど。佇まいがさすが古典芸能のお家のお嬢様って感じで。
舞を舞う野村萬斎から扇を取り上げて、狂気に取り憑かれたように舞う場面が特に素晴らしい。
20代の野村萬斎ケレン味たっぷりの台詞回しとか、草刈正雄のキレキレの悪役ぶりとか、目が離せなくてドラマとしては見応え十分。
音楽も素晴らしい。
「芝居好きのための大河ドラマ」とはよく言ったなぁ。

ただ、当時見なくてもったいなかったとは思わない。
見る側に求めるレベルが相当高いかと。
最近になってやっと能や狂言を見ようと思うようになって「幽玄」という世界がどういうものか垣間見れた。
あの独特の世界観がイメージできたから、花の乱の舞台である室町時代をどう表現しようとしているかがなんとなくわかるわけで。
音楽の良さだって、(大河のオープニングは本体のドラマほどのハズレはないんだけど)色んな音楽を聴いてるからいいと思えるところもあったりするし。

脚本家の市川森一氏のコメントを読んだら納得。

今のテレビドラマは、視聴者のレベルを相当低いところに置いている。ドラマというのはバーゲンセールじゃない。安売りをすれば、どんどん品物がさばけるというような、どこかの電機店の社長がやってるような、ああいう数字取りにドラマが走っている。大河ドラマまでがそこに流されていってしまうという、安売りで点数を稼ぐようなドラマづくりは、断固したくない。やっぱり歴史ドラマはその内容が持ってる娯楽性と同時に歴史の格調というもの、つまり、おおげさに言えば民族の誇りと言ってもいいとも思いますが、究極的には、個々の誇りにもつながっていくんですけど、その姿勢は貫きたい。今後どういう数字になっても。つまり、視聴率というものがどういうかたちになって現れようと。それが良かろうと悪かろうと、そういうことに左右されずに。演じる人も、NHKの作り手も、自分はあの時『花の乱』に関わったと、ずっと誇りとして持ち続けることの出来る脚本を書き続けたい。それが、脚本家に出来る唯一のことだと思うんです。

かなりのチャレンジで、それが予想以上に当時の視聴者には受け入れてもらえなかった。
市川氏が挙げた反省点として第1回で情報入れすぎたとしていた。

ってどこの「いだてん」ですか?